自分が経験したいくつかの病気の中で、
摂食障害は、
特に辛かったものの一つです。
癌も、もちろん辛かった。
死を意識すること、
手術で体を切ること、
内臓を失うこと。
どれも現実として、とても重たい。
でも、
摂食障害は少し違いました。
終わりが見えない苦しさが、
ずっと続く。
衝動に支配される感覚
摂食障害は、
「食べる・食べない」の問題ではありません。
ある種の衝動に、
体も思考も引っ張られていく感覚があります。
食べたい。
でも食べたくない。
その矛盾の中で、
最終的に行動が勝ってしまう。
その最中に、
満たされる感覚はありません。
ただ、
自分では止められない流れの中にいる。
今思えば、
脳の状態もかなり影響していたと思います。
日常に入り込む
コンビニに入ると、
気づけば数千円分買っている。
スーパーでも同じ。
ファミレスでは、
一人で一万円近く使ってしまうこともありました。
経済的にも、
少しずつ苦しくなっていきます。
でも、
その時は止められない。
20代の頃は、
本当に辛い時期でした。
不安定な関係と、病気
その頃の私は、
不安定な恋愛をしていました。
相手はミュージシャンで、
感情の起伏が激しく、
どこか現実から浮いたような人でした。
私もその世界に引き込まれていきました。
自分の病気のことは言えずに、
ずっと隠していました。
でも、
感情が大きく揺れたある時、
「もうどう思われてもいい」と思い、
すべてを打ち明けたことがあります。
言葉にできなかったもの
彼に会うために、
夜中に車を走らせる。
短い時間を過ごして、
また別れる。
その繰り返し。
彼が仕事を終えるまでの間に、
車の中で過食して、
吐いたものをビニール袋に入れて、
後部座席に隠していました。
ある日、
彼と口論になった。
理由は些細なことだ。詳細は覚えていない。
そんな時、唐突に
「それ」を彼に渡しました。
言葉では説明できなかったものを、
そのまま見せたような感覚でした。
彼は、
何も言わずにたっぷり膨らんだビニール袋を受け取りました。
否定もせず、
ただ静かに受け止めようとしてくれました。
でも、
今振り返ると、
あの関係はお互いに依存していて、
健全なものではなかったと思います。
坂道を転がるように
その後、
状態は少しずつ悪化していきました。
夜な夜な車を走らせて、
明け方に帰り、
そのまま眠らずに仕事へ行く。
そういう生活を続けていました。
そしてある日、
車でガードレールに突っ込み、
事故を起こしました。
あの頃の自分
今振り返ると、
あの頃の私は、
現実から離れようとしていたのだと思います。
叶わないものを追いかけて、
夜中に走り回り、
刹那的な時間を繰り返し、
体は痩せていき、
服装は派手になり、
音楽に没頭していました。
現実を感じないようにするための行動だったのかもしれません。
今思うこと
摂食障害は、ただの食べる、食べないの病気ではありません。
その背後には、一人で生きれない心。
依存。
自分の判断を他人に任せてしまう危うさ。
自分の存在を価値あるものと感じられない辛さ。
様々な状況や心の脆弱性が影響している。
感情の揺れや、
人との関係や、
自分との向き合い方が、
すべて重なって表に出てくるものだと思います。
だからこそ、
単純に食事指導なんかでは解決しない。
あの頃の自分を思い出すと、今でも辛い気持ちがします。
でも、乗り越えた。
時間はかかったけれど、今は楽しく家族と食事し、笑い、ソフトクリームを娘と食べられる。
最後に
もし今、
同じような状態にいる人がいたら、
それは、
きっと、終わる時が来ると伝えたい。
すぐに変わることは難しいかもしれない。
でも、
少しずつ整えていくことはできる。
思考を変えて、環境を変え、自分を変える。
もしよければ、
今の状態を少しだけ整理してみませんか。
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答えを出すためというよりも、
今の自分を客観的に見るための、
ひとつのきっかけとして使ってもらえたら嬉しいです。
無理に何かを変えようとしなくてもいいので、
「今の自分を知ること」からでも、十分だと思います。
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